家でできる歌唱トレーニング
皆さんごきげんよう。歌と声の学校、発声技術指導顧問の古川雄一です。
コロナウイルスの影響を受けて、外出を控えてなくてはいけない状況では、歌唱トレーニングが行えず、困っている方も多いのではないでしょうか?歌唱トレーニングは声を出すことを伴うトレーニングであることから、家では出来ないものだと考えられがちです。しかし、歌唱トレーニングには様々な方法があり、家でも出来る方法があります。今回はその中でも、すぐに実践できる「聴く」歌唱トレーニングをお伝えします。
「聴く」歌唱トレーニングとは
「聴く」歌唱トレーニングとは、アーティストの声の要素を注意深く聴くことです。アーティストの声をただ聴くだけではなく、声の要素の一つ一つを注意深く聴くことで、自分の歌が自然と良くなり、また自分の声における課題も発見できます。
なぜ聴くだけで歌がうまくなるの?
赤ちゃんは発音を覚える際に「モノマネ」を活用しています。赤ちゃんはどのように発音すればいいかがわからなくても自然とモノマネをして発音出来るようになります。つまり自分にない発声発音でも「モノマネ」を行えば出来るようになるということです。「モノマネ」の成立過程は「きく」⇒「真似る」です。したがって「聴く」ことは、とても大切であり、聞いていない音声は出すことは出来ません。
家で出来る歌唱トレーニング
私達は普段、アーティストの声を「なんとなく」聞いています。聞き方には個人差があり、得ている音声情報にも差があるため、その結果、歌唱や発声の個人差に影響を与えているのではないかと考えられます。したがって「声の要素」の観点からアーティストの声を聴き、普段は気づかなかった声の特徴を捉えることができれば、歌唱の向上につながる可能性があるわけです。また外出できない今でも出来るため、今回は「聴く」歌唱トレーニングを皆さんにご紹介したいと思います。
実践!「聴く」歌唱トレーニング
前述した「聴く」歌唱トレーニングに大切なことは、アーティストの声を「声の要素」の観点から聴くことです。声の要素とは、「高低」「強弱」「長短」「音色」のことです。ではアーティストの声をこれらの観点から実際に聞いてみましょう。
「高低」
高低とは、声の高さ低さです。アーティストの方がどのくらい高い音を出してどのくらい低い音を出しているのか、ピアノの鍵盤を一緒に叩きながら、確認してみましょう。アーティストの方の声は、声質によって高めに聞こえたり低めに聞こえたりします。実際に鍵盤を叩きながらどのへんの音を出しているのか確認をすることで、正確な高低を判断できます。アーティストの声の高低を自分の声の高低と聴き比べながら、自分の声の高低の足りない部分を明確に知ることが、声の高低における課題発見につがります。
「強弱」
強弱とは、声の大きさの大小と考えてください。声の大小を「小・中・大」の三段階に分けてきき、どのフレーズでどのくらいの大きさで歌っているのか確認しましょう。注意深く聞いてみると、大きく出していると思っていたけどそんなに大きく出していなかったり、意外な声の大小の発見が期待できます。
「長短」
長短とは声を伸ばしている長さのことです。注意深く観察すると、意外とみじかく切っている場合もあれば、長く伸ばしている場合があることに気がつきます。観察において大切なのは、テンポに対してどのような長さの声を出しているかです。テンポとは譜面や楽譜の左上に♪=70のように書かれている数字のことで、一定感覚で刻まれる拍で音楽の速さをあらわします。スマホのリズムアプリなどに、曲のテンポを入れるとテンポが刻まれるので、そのテンポに対して声がどのくらい伸ばされているのかを聞きましょう。例えば「声を3拍分、伸ばしている」のように、聞いてみるのがアーティストの声を客観的に観察するのに効果的です。
「音色」
音色は声の種類のことです。アーティストの方は、聞き手が感じている以上に、様々な音色を使い分けて表現しています。音色は「明るい・暗い」「かたい・やわらかい」など形容詞で表現できる要素です。あなたなりの言葉で、アーティストの方がどんな音色を使って表現しているのか、分類仕分けし、自分の持つ声の音色の種類と比較して見ると、歌唱表現を行う上での音色における課題が発見できます。
発展学習「複合評価」
前述した声の要素を複合的に評価してみましょう。例えば「この高さ」のときには「こんなボリュームで」「このくらい伸ばしながら」「こんな音色の声」だったのように行います。特に曲の中でいちばん大切な場所をどのような声の要素で歌唱しているのかを、声の要素から複合評価するといかにアーティストが工夫して歌っているのかがわかります。
自分が捉えていなかった点が見つかった時点で、あなたの歌は向上する
あなたが声の要素の観点からアーティストの声を聞いた際に、新しい発見があれば、あなたをそのアーティストの歌唱技術を体得するための一歩を踏み出したことになります。家にいて声を出せないときこそ、「聴く」歌唱トレーニングを実践してみてはいかがでしょうか?
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マンツーマンレッスンにて、一緒に問題を解決していきましょう!
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